「いつもと同じように引く」
言葉にするとシンプルですが、実際に弓道で再現するのは至難の業です。
- 試合になると中らなくなる
- 場所が変わると調子が落ちる
- チャンスに弱い
いろいろなお悩みがあると思いますが、今回は不安定になる要素について整理していきます。
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スポンサーリンク心技体でポイントを整理
弓道でいつもと同じように引けない理由は複雑です。
まずは不安定になる要素を心技体で整理してみました。
心 | プレッシャー 焦り 不安 怒り 喜び |
技 | 狙いが乱れる 手の内が狂う 足踏みがずれる |
体 | 筋肉の疲れ 精神的な疲れ 寝不足など慢性的な疲れ |
まず注目していただきたいのは「技」の部分。
共通点を考えてみると、目・手・足などの末端部分が関係していることに気づきます。
弓道で調子が激変する理由の多くは、体幹ではなく末端。
ちょっとしたキッカケで、手や足の動きは大きな影響を受けるのです。
逆に腰や肩などの使い方は正しい動きでも間違った動きでも安定しているので、たとえ初心者でも動きが乱れることはあまりありません。
では、各項目について詳しくみていきましょう。
狙いが乱れるとは
狙いの乱れは、弓道の調子に最も影響する要素です。
こんなことに心当たりはありませんか?
- 口割に下ろせば自然と狙いが定まると思っている
- 試合会場では直前練習の時点で調子が悪い
- 金的・扇的を狙うと矢所が乱れる
- 夕方や夜、早朝になると中らない
以前「弓道で試合になると中らない人【錯覚を起こして狙いがズレる?】」で話しましたが、弓道をしている人の多くは狙いが曖昧です。
特に無意識のうちに狙いを定めている人は、的の大きさや場所が変わるだけで狙いが乱れます。
なぜなら「無意識」には周囲の景色も含まれているからです。
ある学校で、こんな実験を行いました。
- 普段と同じ環境で12射
- 普段つけている幕を外した状態で12射
- この実験を日を変えて何度も繰り返す
結果だけお伝えすると、本番に弱いタイプの学生ほど的中率に大きな影響が出ました。
幕を外したたけで的中率がガクッと下がったのです。
普段から的の眼に狙いを定めていない人は周囲の景色の影響を受けてしまいます。
不慣れな場所では中らなくなるのも当然です。
「当て射はダメ」という意識が強すぎて、狙いを研究するという作業を怠っていませんか?
横の狙いはもちろん、縦の狙いも含めて明確な基準を持ってください。
手の内が狂うとは
手の内(角見)は精神面の影響を受けて安定感を失いやすい部分です。
特に日本の弓は離れと同時に弓を回転させないと矢が真っ直ぐ飛ばないので、少しのズレで矢所に影響します。
手の内が狂う原因は「力み」。
もっと正確に言えば、いつもより力が強くても弱くても手の内はダメなのです。
ではどうすればいいのか?
精神的な影響を小さくしたいなら、普段から自分なりのチェックポイントを持つしかありません。
私の場合は必ず2つチェックしています。
- 卵を割らずに包むイメージで手の内を作る
- 小指を親指の付け根に近づけるイメージで締め続ける
小指を締めるというのは全力で弓を握るのではないので、注意してくださいね。
小指と親指の付け根の距離を縮めて手の内を小さくするような感覚です。
もちろん物理的には動かないのですが、このイメージを持つと手の内の安定感が向上します。
手の内は無意識で作ってはいけません。
無意識で作れるのは相当な達人だけだと思ってください。
足踏みがずれるとは
強い緊張状態が続くと、どういうわけか足踏みが普段より広くなる人がいます。
強く踏ん張って安心感を得たいのでしょうか。
無意識で行っているので本人は気づいていません。
足踏みの幅が普段と違っていると、胴造りに微妙な影響が出ます。
また、上下の狙いにも影響が出てしまうので、いつもと同じように狙うと矢が上下に散るかもしれません。
そもそも、普段から足踏みを練習する人が少ないのも残念なポイント。
感覚的には一定の間隔でしているつもりでも、毎回バラバラの人もたくさんいますよ。
神経質になる必要はありませんが、足踏みも射法八節の1つであることを忘れないでください。
弓道と体のコンディション
いつもと同じように引くためには、身体のコンディションも重要です。
特に試合の日は長時間緊張状態が続くので、対策が必須。
日頃から準備しておく必要があります。
以前「弓道にランニングは必要なのか?」という話をしました。
ランニングなど弓道に関係ないように思いますよね。
ところが実際は、移動疲れによるパフォーマンス低下を防ぎ、長丁場の試合での体力を維持するのに役立つのです。
弓道は精神論ばかり語られがちですが、体力も大事。
日頃からコツコツ準備している人は本番でも強いですよ。
心はどうする?
最後は心の関係。
いつもと同じようにと思っても、緊張するときはします。
皆中できるかもと思うだけでも心が揺れるし、人の目が集まるだけでもプレッシャーです。
何が起ころうとも平静を保つというのは、一朝一夕でできるものではありません。
でも大丈夫。
日頃から準備をしておけば、少しずつ自分をコントロールできるようになります。
詳しくは「弓道とプレッシャー【3つの対策で勝負をかけろ】」をご覧ください。
自分のウイークポイントを探せ
今回は心技体のうち、特に技を中心にお話しました。
ただし、今回取り上げたのはほんの一例です。
射型は人それぞれですので、不安定要素も人それぞれに個性があります。
いつもと同じように引けなかったと感じたら、必ずメモする癖をつけましょう。
- 感じた違和感
- 矢所
最低でもこの2つはメモできるはずです。
頭で考えるだけでは、モヤモヤするだけ。
文字にする習慣をつけることで、あなたのウィークポイントの「見える化」をしていきましょう。