早気の初期段階「会を持とうと思えば持てる」。この段階の早気対策としてよく行われるのが、会の秒数を数えるという方法です。
しかしながら、この方法は逆効果。会がただの我慢・苦行になってしまいます。本当にすべき早気対策は、会の目的をしっかりと作る・自覚することです。
具体的な会の目的が分かれば、自然と秒数は伸びます。逆に、秒数を伸ばすことだけを目標にしてしまうと、会が苦痛になり、ますます早気が進行してしまいます。
今回の内容は、私自身を含め、10人以上の早気になりかけの人達を立ち直らせた方法です。ぜひ参考にしてみてください。
なお、口割り発射や口割りまで降りない重度の人は「鼻割りを解決したい!弓道を諦める前の最終手段を紹介」をご覧ください。
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スポンサーリンク会に入った瞬間の狙いの不安定さに注目しよう
会を持とうと思えば持てるというレベルの早気の方に、注目してほしいのが狙いです。
口割りまで降ろして会に入った瞬間というのは、実はものすごく狙いがブレているのです。
まずは、このことに気づくのが早気克服の第一歩です。
押手のブレと言い換えてもよいですが、このブレを沈静化するために3~5秒は最低かかります。まずは狙いのブレを沈静化することをめざしましょう。
まずは、狙いを厳密に定めることです。
勘ではダメです。満月・半月・新月という横の狙いはもちろん、高さについても籐の何本目に的の中心を合わせるなど、きっちりと決めておきましょう。
特に視力が0.6以下の人は、狙いをアバウトに定めがち。籐の何本目という決め方は無理でも、自分の押手と的の位置関係を確認するなど、自分に合った方法を探るべきです。
ただし、安土や幕など、景色を参考に合わせるのはNG。自分の弓や、体を基準に狙いを定めるのがおすすめです。
このように、会で何をするのかしっかりとした目的があれば、秒数を数える必要もなく、会を伸ばせます。会は引き分けと同じように、射るために必要不可欠な動作なのです。
シールやペンで目印をつけることから始めよう
狙いを厳密にと言われても、やり方が分からない人もいると思います。
おすすめなのは、丸いシールを弓の藤に貼ること。
シールの位置を微調整しながら、最も的中率が高いポイントを探ってみてください。
ポイントが決まれば、あとは引くたびにシールにきっちりと狙いを合わせる。引き分けの段階ではわざと狙いをズラしておいて、会で合わせていくのもよいでしょう。
また、自分の押手にペンで目印を付けておくのもおすすめ。目が悪い人は藤で合わせるより、押手の目印と的の位置関係から高さを合わせる方法のほうがやりやすいかもしれません。
もちろん、これらの方法は試合や昇段審査でやるとルール違反ですが、練習中、自分の狙いを定めるサポートしては大いに役立ちます。
狙いを定める訓練をすれば、会の秒数をわざわざ数える必要はありません。
会が短いほうが中たるという思い込みについて
「すぐ離れたほうが中たる」
なかにはこう思った方もいるでしょう。
でもそれは、見慣れた景色で、リラックスしている状態だからこそできる芸当です。
毎日同じ場所で弓を引いていると、無意識のうちに周囲の景色を参考に狙いを付けられるようになります。
壁だったり、幕だったり、人それぞれですが、引き分けの段階から景色に合わせて狙いを定めながら引いているのです。無意識のうちに。
この状態であれば、口割りまで降ろした瞬間に離れても高い的中率を出せるでしょう。でも、緊張状態であったり、会場がいつもと違う場所であれば不可能です。
緊張すると同じ景色を見ていても、頭に入ってくる情報量が変わります。多くの場合、視野が狭くなる。
早気の人に多い「練習では中たるのに、月例射会ではダメ」という人は、これが原因です。皆中がかかった1射を外すのも同じですね。
また、月例射会は大丈夫なのに、公式戦・対外試合ではダメということも早気の人には多いでしょう。
普段、無意識に狙いを合わせているから、少しでも勘が狂うと修正がきかないのです。
会できっちりと狙いのブレを沈静化できれば、勝負弱さを克服できる可能性が高いですよ。
伸び合いなどの漠然とした目的はNG
会といえば、伸び合い・詰め合い。
ここまで読んできた人のなかには「狙いのことばかり考えるなんて邪道だ」と思った方もいるかもしれません。
しかし、早気対策という視点で考えるなら、伸び合い・詰め合いを目的とするのはNGです。
なぜなら、具体的に何をすればよいのか分からないから。
伸びようと頑張っているつもりなのに「縮んでいるぞ」と怒られてしまうということもあり、混乱が深まるだけです。
早気対策で重要なのは、具体的な目的。
伸び合い・詰め合いを極めていくのは、早気対策が完了してからのお楽しみとしておきましょう。