弓道で下に飛ぶ3つの原因【矢どころが6時に集まる人へ】

当ブログでは弓道の話をすることがよくあります。

過去の話を読んでくれた方からご質問が届きました。

「6時に外すことがよくあります。なぜでしょうか?」

今回は矢所が下に行きやすい人に向けて、原因を解説いたします。

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狙いをきっちり定めているか?

弓道で矢が下に飛ぶ

私は矢所の話をするとき、必ず最初に狙いについて確認します。

狙いが狂っていれば、どんな完璧な射型でも中りません。

ところが弓道では狙いを軽視している人が多すぎるように思います。

特に上下の狙いについては、感覚だけを頼りにしている人がほとんどです。

あなたは狙いをどうやってつけていますか?

もし感覚だけで上下の狙いを合わせているなら、損していますよ。

人の感覚というのは実に曖昧です。

体調、気温、精神状態に大きく影響を受けます。

会場が変わった途端に感覚が狂うこともあるのです。

それぐらい、人の感覚は移り変わるもの。

絶対の感覚というものはありません。

まずは厳密に狙いを定めてください。

そこが第一歩です。

上下の狙いを合わせるなら、的の中心よりも的の下側で合わせるのが効果的です。

籐の溝や手のしわなど、きっちりと合わせるポイントを見つけてください。

なお、狙いは一度定めたら永遠に同じではありません。

私たちの体力や射型、気温などは毎日変化します。

私たちが変化するなら狙いも変化して当然。

狙いを微修正するのは必要なことです。

この作業を「あて射だ」と言う人もいますが、それは間違いです。

あて射とは、的中を気にして自分の射を見失った状態。

狙いを定めることと、あて射は全く別物です。

6時に集まる原因が何であれ、狙いを修正すれば一定期間は矢所を上げることができるでしょう。

狙いを修正してもすぐに6時に集まるなら、次の原因を確認する作業に移ります。

失速して下に落ちる人の原因

矢が下に飛ぶ、6時に集まると言っても原因は一つではありません。

狙いを修正したら、次は矢飛びに注目します。

矢が失速するように落ちていませんか?

もし矢が失速しているなら、原因は手の内です。

弓道で6時に外す

矢が失速する原因は、離れで弓が回転しないことが原因です。

弓道の弓って、四角いですよね。

弓が回転しないと飛び始めた矢に接触して邪魔してしまい、失速します。

前に外すのも弓が矢の進路を妨害するのが原因です。

根本的には同じですね。

角見を利かせるためには、押手の小指の締めが大事です。

手の内で親指が曲がる

このブログを何度か読んでくれた人は「また言ってる」と思うかもしれません。

でもあえて言います、小指の締めは的中率に直結します。

一瞬でも緩めば的中率はガタ落ち。

小指の締めから意識を外したら負けぐらいの気持ちでやってください。

小指の締めについては「手の内で親指が曲がる人へ」で詳しくお話していますので、そちらもご覧ください。

射が窮屈になっている

狙い・手の内の小指の締め。

2つの原因についてお話しましたが、次が最後です。

3つ目の原因は「射がいつもより窮屈になっている」ことです。

大きく引ける人、引けない人…色々いますが、射の引き幅は一定ではありません。

同じ人でも、日によって引き幅が変化してしまうことがあるのです。

特に離れを意識した練習をすると、射が普段より小さくなりやすい傾向があります。

普段から射が大きい人でも「いつもより小さい」と矢が下に行きやすくなりますよ。

ここで大事なのは引き分けです。

弓道で矢が下に落ちる

特に引き分けの開始直後が肝心。

引き分けの始動で勝手を引きつけると失敗します。

以前「背中で引く方法を意識すると危険」という話をしましたが、引き分けで勝手が体の近くを通ると小さく・窮屈な射になります。

特に肩が上がりやすい人は、窮屈な引き分けになっている可能性が高いので要注意。

勝手が遠回りしすぎてもダメですが、矢が6時に集まりだしたら意識してみてください。

押手が下にブレるのは結果論

矢が6時に集まるという相談をすると、こう言われることがよくあります。

「離れで押手が下がるから下に落ちるんだ」

押手は矢の発射台。

押手が下がれば矢が下に行きやすい…という話ですね。

押手が下に下がる

これ、間違いではないのですが「原因」ではありません。

原因ではなく「結果論」と言ったほうが正しいでしょう。

離れの瞬間の押手の動きは会に入るまでに決まっているのです。

そもそも私たちは離れた直後の動きを意識して制御できません。

「下げるな」と言われても、原因を解消しないと絶対に下がります。

押手が下がる原因とは何か?

これも引き分け開始直後を直す必要があります。

意識することは一つです。

・引き分け中の押手の軌道は矢に沿うように意識する

先ほど勝手を引きつけるとダメだと言いましたが、押手も同じです。

弓道

大三から引き分けに移るとき、押手も勝手も矢に沿って動かすのが基本。

できていない人がとても多いです。

急激に押手が肩のラインまで動く人、蛇行する人…色々と癖が出るものです。

矢に沿って引き分けを始めれば、押手も勝手も自然と正しい位置に収まりますよ。

まずは狙いを意識

いかがでしょうか。

矢所が6時に集まる人はチャンスです。

解決できれば、一気に的中率が向上することでしょう。

引き分けの改善は時間がかかりますが、狙いや手の内の小指の締めは意識すればすぐです。

研究してみてくださいね。

>>弓道の自主練って何をすればいいの?

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“弓道で下に飛ぶ3つの原因【矢どころが6時に集まる人へ】” への12件の返信

  1. やすはら様
    お返事ありがとうございます!
    早速実践しております!小指の締めは何となくこんな感じかと分かってきました!卵はまだ怖くてやっていません。
    三指と弓の間に鉛筆が入るぐらいの空間を開けると言うことは意識していなかったので驚きでした。

    こちらは矢所が6時に集まる事で悩んでいたところ発見したブログです。とても分かりやすくて嬉しくなりました。6時の問題も解消しつつあります!ありがとうございます!
    因みに矢が的の左に飛んでいくのはどんな原因があるでしょうか…全部(当たっていても)左側に寄っています。
    よろしくお願いします!
    ありがとうございました。

    1. くろ様

      こちらこそ、ありがとうございます!
      手の内は何十年弓道をしている人でも「研究中です」というぐらい、奥が深いものですので、くろさんも色々と試行錯誤してみてくださいね。

      矢所が左に寄っているということですが、弓返りするようになってから左に寄るようになったのなら、狙いをチェックしてみたほうがよいかもしれません。
      弓返りしない人は、左を狙って右に飛ばしている人が結構いるので、その影響も考えられます。

      また、左下に集まる場合と、左上に集まる場合では原因が違うことが多いので、ぜひこちらの記事も参考にしてみてくださいね。

      https://yasuharazakka.com/archives/704.html

      https://yasuharazakka.com/archives/1800.html

  2. やすはら様、初めまして。
    最近、手の内を変えて練習してみたら弓返りするようになりました。当たりも多くなり、良かったと思うのですが、、
    離れたあと弓が落ちるようになりました。落ちるときはかなり落ちます。何がいけないのでしょうか?
    よろしくお願いします。

    1. くろ 様

      コメントありがとうございます!離れたあと弓が落ちるとなると、私が思いつく原因は2つです。

      まずひとつ目は、会で中指・薬指・小指と、弓の外竹との間に空間がなくなっている可能性。三指と弓の間に鉛筆が入るぐらいの空間がないと、弓の衝撃を受け止めきれず、弓が落ちやすくなります。(空間は離れの際、緩衝材のような役割を果たします。)

      ふたつ目は手の内の力加減というか、締め方。よく言われるのが、卵を潰さない程度の力で、離れに向かって手の内を締めていく。私の場合は、角見を意識しながら小指を締めるイメージです。小指を握り込むのではなく、親指の付け根に近づけていくような感覚で締めていくと、めったに弓は落ちません。

      ちなみに私の場合、実際に生卵を使って手の内のイメージトレーニングを行いました。割れてしまったときのために、下にボウルでも置いておくとよいですよ。スクランブルエッグにすれば、ちょうどいい栄養補給にもなります(笑)

      1. やすはら様、はじめまして。

        高校から弓道を初めて半年ほど経ったのですが、急に矢所が左上から6時のところに飛ぶようになりました。この矢所がかれこれ2ヶ月ほど変わらないままです。

        緩み離れが原因だと思っていたのですが、治った今も矢所が変わりません。弓は8キロを使っていて、矢飛びは左右のブレ、回転などはなく真っ直ぐ飛ぶのですが、弧をかいて的の前で急に落ちる感じです。失速?しているのだと思います…。治す練習法や何を意識すれば良いでしょうか?

        1. まつ様

          はじめまして、質問ありがとうございます!
          真っ先に手の内を疑いたくなりますが、矢飛びがきれいなら違いますね。

          私が思いつく原因は2つです。

          1.弦の寿命が近づいている
          2.引き幅が以前より小さくなった

          弦はいつ交換されましたか?弦は寿命が近づくと反発力がかなり下がります。
          交換するだけで、失速しなくなる可能性もありますよ。

          だいたい、合成弦は500射~1000射で寿命と言われているので、最近取り替えていないなら、試してみてくださいね。

          2つ目は、引き幅の問題。
          ただしこれは、小さいからダメ、ということではありません。

          単に以前が大きく引きすぎていて、今が適切という場合もあります。
          8キロの弓ですので、矢が弧をかいて飛ぶのは不自然ではないようにも思えます。

          どうしても矢勢がイメージと違うのでしたら、9キロに上げるというのも考えてみてください。
          射型をいじって無理に矢勢を上げようとすると、変な方向に走ることが多いですよ。

          あとは、手の内の練習。
          手の内は上級者でもずっと悩む課題ですから、手の内の研究は毎日コツコツ続けてみてくださいね。

          1. 返信ありがとうございます!

            弦は最近変えたばかりで、まだ60射引いたか引いていないかくらいです。なのでやはり引き分け、弓手の押し方が原因なのかも知れません。特に弓手が親指の付け根あたりで押してしまっていて、しっかり上押し、下押し出来ている感覚がなく、離れの際にも意識はしても押し切れている感じがありません。手の内の練習は具体的に何をすればいいか、などはありますでしょうか?

            引き分けは、私の感覚の問題なのかもしれないのですが小指に乙矢を持っていると(甲矢を引くとき)大きく引けている感じがあるのですが、乙矢を引くとすごく縮こまって引いているのが自分でも分かります。矢飛びも甲矢は下でも的の近くに飛ぶのに対して、乙矢は掃き矢になることが多いです…。これはもう慣れでしょうか?

            お手数おかけします……!

          2. まつ様

            弦は変えたばかりでしたか。
            手の内の練習は、これという「正解」がありません。高段者の方も、毎日、「弓を手に当てる場所はここでいいか」「この角度でいいか」「指を少しずらすとどうなるか」など、試行錯誤していますよ。手の内のことだけを考えて試す時間を、数分でもいいので作っていきましょう。

            押し方や射型について、いろいろと迷ってしまっているようですね。まずは、大きく引く練習から始めてみてはどうでしょうか。

            私が初心者のころも縮こまってしまうことが多かったのですが、大三から引き分けるとき、右手をできる限り顔に近づけないように、遠回りするように意識してから改善しました。

            なぜかというと、縮こまる、射が小さい人はまっすぐ引いているつもりでも、右手をすぐに顔の近くへと引き付けてしまう傾向があるからです。
            大三で作った、拳1個分のスペースをなるべく保ちながら、頭の後ろまで引き分けると自然と大きく引けます。

            押す感覚というのは、今は正直難しいと思います。
            押すというより、まずは弓の力を受け止めるという意識のほうがよいですよ。

            大きく引けるようになると、弓手にかかる弓の力も高まります。
            まずは弓の力に負けない程度に受け止める、慣れて余裕ができたら押し返しましょう。

            長くなりましたが、あれもこれもやろうとすると、パニックになります。
            優先課題を決めて、コツコツ練習してみてくださいね。

    1. こう さま

      コメントありがとうございます!
      小指の締めの強さですが、私としては「強さ」を意識するのではなく、親指の付け根と小指をできるかぎり近づけるようなイメージで締めています。ギュッと握り込むより、近づけるようなイメージのほうが弓と手の内の一体感を得やすいと感じています。さらに、近づけるようなイメージであれば、引き分け中も小指の締めが緩みにくいというメリットもあります。ぜひ参考にしてみてくださいね。

  3. 弓力を下げてからの事なのですが引き分けると何故か押手が下がってしまいます。上手いバランスで引こうと思っても気づけば下がってます。

    1. れい様

      ご質問ありがとうございます。

      どうしても押手が下がってしまうのですね。
      確かにバランスを意識しても改善は難しいでしょう。

      押手が下がる原因の多くは、打ち起こし・大三で休憩してしまうことです。

      あなたは大三が完成して引き分けに入る前に、息を吐いて肩を落としていませんか?

      フッと息を吐いたとき、押す力が抜けてしまいがちです。
      1度抜けてしまうと押し返してもバランスは取り戻せず、コントロールできなくなります。

      それに加えて、弓力を下げたことで引きのバランスが強くなってしまったのでしょう。

      まずは打ち起こし・大三で押すのをやめないこと。

      呼吸は浅く一定に保って、大三で肩を無理に下げる必要はありません。

      射法八節は全てつながっています。
      離れは射法八節の結果が出ているだけです。

      射法八節の中に休憩ポイントはないということを忘れないでくださいね。

      それさえ覚えておけば、れい様の射はどんどん上達することでしょう。

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