最近、当ブログにこんなお悩みが届くようになりました。
「離れの引っかかりが直りません」
「会が安定せず違和感があります」
「引き分けで手首や肩が…」
このようなお悩み相談をいただいた場合、私は必ず足踏み・胴造り・取懸などから確認・アドバイスします。
なぜなら、射型を直すには順番が大事だからです。
今回は射型を直す際の正しい順番や、射型を直す順番を無視するとどうなるのかについて解説します。
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スポンサーリンク射型を直す正しい順番とは
まず最初に結論からお話します。
射型を直したいなら、足踏みに近いところから改善していくのが正しい順番です。
例えば離れで悩んだとしましょう。
「前離れしないように離そう」
「引っ張らないようにそ~っと離そう」
「もっと鋭く離れてみよう」
離れを直したいから離れ方を変えようとする。
実はこれ、大きな間違いです。
正しい順番はこうです。
離れを直したい
↓
引き分け・会で離れに影響する問題はないか?
↓
打ち起こし・大三で引き分けに影響する問題は?
↓
打ち起こし以前に、問題点はないか?
このように、一つずつ前の段階にさかのぼって原因を調査していく。
これが射型を直したいときの正しい順番です。
結果的には、足踏み・胴造り・取懸など本当に最初の段階に行き着くことが多くなります。
以前「弓道の万歳離れの直し方」という話をしました。
このときにも言いましたが、離れだけを意識してイジるのは危険です。
もちろん離れだけでなく、引き分けなどの改善でも同じことです。
引き分けで肩が上がるのを直すならまず打ち起こし・大三の確認。
取懸の時点で原因が潜んでいることもあります。
必ず「悩んでいるポイント」よりも前の段階からチェックする。
弓道でこの原則を無視すると、いくら練習しても射型は直りません。
射型を直す順番を無視するとどうなるのか
射型を直す正しい順番を無視するとどうなるのか。
悩んでも解決せずドツボにはまり、余計に変になってしまうのがオチです。
いろいろ試しているのに直らない
↓
あれこれ複雑に考えすぎて、訳が分からなくなる
私の知り合いには、悩みすぎて早気になって、最後には弓道を引退してしまった人もいます。
私も正しい順番を無視した結果、的中率8割以上を安定してキープしていたのに、ある日突然、掃き矢の嵐…なんてこともありました。
射法八節って、本当はもっとシンプルで自由なものなのです。
難しく感じるのは、私達が見当違いなことばかり取り入れて「がんじがらめ」になっているからだと思ってください。
遠回りに思えても、一つずつ前の段階にさかのぼって確認したほうが結果的に上達が早くなるのです。
具体的に今日から何をするべきか
「理屈はいいから、早くどうすればいいのか教えて!」
そんな声が聞こえてきそうなので、今日からどんな練習をするべきなのか具体的にお話します。
今日からしてほしいことは3つです。
- 自分が悩んでいることを書き出す
- 書き出した悩みを射法八節に沿って並べる
- 足踏みに一番近い段階の悩みの原因について仮説を立てる
まずは足踏みに近い悩みから順に解決していきます。
離れがどうとかは一切無視。優先順位をしっかり守ってください。
取り組む悩みを絞ったら、原因について仮説を立てます。
このときに大事なのは自分の中で思っている「正しい」を疑うことです。
- やろうと思っていることと、実際の動きが全く違う
- できていると思ってたけど、実はできていない
こういうことがよくあります。
例えば胴造り。
自分が思っている胴造りのやり方よりも、単なる棒立ちの方が正しい胴造りに近かったということもあり得ます。(悲しい…)
そういう意識と体のズレを見つけることこそ、弓道の上達への道。
自分の中の「思い・感覚」ではなく、常に「実際の動きを観察する」ことが大切です。
この点については以前、「弓道が上達しない人へ!コツは見直し力を鍛えること」という記事でも話しているので、そちらも合わせてご覧ください。
足踏みの練習をしたことがありますか?
どんな悩みを持っていようと、避けて通れないのが足踏みの練習です。
弓道の初心者と高段者を見比べてみると、足踏みの段階でかなり違いがあります。
- 左右の重心バランス
- 前後の重心バランス
- つま先の開き具合
- 両つま先を結んだ線が的の中心を向いているか
何気なく行っているように見える動作でも、高段者は全てが整っています。
足踏みは大事な土台づくりだと理解しているのです。
ところが弓道を始めたての人は、足踏みの重要性を無視しがち。
大三の形や引き分けの仕方、離れにばかり注目して足踏みなんて適当です。
でも、足踏みは射法八節全体に影響します。
試しにいつもの足踏みと全く違う広さにしたり、つま先の開き具合を変えてみてください。とても引きにくいですよ。
もう一つ、足踏みが下手な人は本番に弱くなりやすいというリスクもあります。
周囲の景色が変わるだけで足踏みがズレてしまい、射型が狂うからです。
狙いがズレることもあるので、普段から意識しておくことをおすすめします。
>>詳しくは「弓道で試合になると中らない」を参照
1日に3分だけでも足踏みの確認や微修正をしてみてください。
地味な取り組みは、あとからジワジワと効いてきます。
正しい胴造りを体感する方法
足踏みと同時に、射型の土台になるのが胴造りです。
ところが正しい胴造りというのは、自分で意識しても分からないですよね。まずは正しい胴造りに近い感覚を体感してみましょう。
方法は簡単。
- 足踏みをした状態で体の力を抜く
- 両手を腰に当てる
- 手で腰をグーッと下に下げる
こうすると、重心が下がって体が安定するのが分かるはず。
腰を入れるとか難しいことをしなくてもOKです。
あとは、普段との違いを意識しましょう。
腰を下にグーッとおさえた状態で、物見を入れてみてください。かなり新鮮な感覚があるはずです。
できれば友達や先輩に腰を抑えてもらって、素引きをしてみてください。
特に「弓に入る」という言葉を誤解して、つま先体重になっている人は引き分けや会で大きな違いを感じるはずです。
取懸はモジモジしないのが正解
足踏み・胴造りの次に厄介なのは取懸です。
なかなか苦労している人も多いのではないでしょうか。
詳しくは「取懸に違和感がある人へ」を見てほしいのですが、親指よりも中指を意識して改善したほうがスムーズにいくことが多いです。
未熟な人ほど、取懸でモジモジしがち。
取懸や手の内だけは自分で解決するしかないので、心当たりがある人はぜひ試してみてください。
前へ前へとさかのぼって確認を
射法八節を直したいなら、前へ前へとさかのぼって確認するのが一番の近い道です。
普段、足踏み・胴造り・取懸などの練習をしていない人は、今日からぜひ時間を作ってチェックしてください。
射型の改善は、宝探しのようなもの。
いつもは無視している部分にこそ、あなたの求める何かが眠っているのかもしれませんよ。