先日「冬休み・正月休みの間に何をするべき?」という話で、寒い時期に弓道の調子を崩す人が多いと言いました。
ところが1月終盤に入り、やはり調子が悪化している方が大勢います。
そこで今回は、そんな状況を打破する方法を紹介。
ただ闇雲に練習するだけでマンネリ化している方にも役立ちますよ。
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スポンサーリンク左引きのすすめ
今回ぜひおすすめしたいのは、左引きの練習です。
「弓道に左引きなんてないぞ。何を言っているんだ?」と思った方もいるでしょう。
もちろん、実際には的前に立って練習するわけでもありません。
今回おすすめしたいのは、徒手稽古とゴム弓で左引きをすること。
やったことがある方も多いと思いますが、継続的に行っている方はほとんどいないでしょう。
しかしながら、左引きの練習には大きなメリットがあります。
普段は見過ごしていた「間違った思い込み」を発見できる可能性が高まるのです。
アーチェリーで気づいた弓道の思い込み
私が左引き練習のメリットに気づいたのは、大学の頃。
体育の選択授業の中にアーチェリーがあったので、迷わず飛びつきました。
とはいえ弓道の射型に悪い影響があったら一大事。
そこで、あえてアーチェリーは左で引くことにしたのです(アーチェリーには左利き用の弓がある)。
最初は弓道とアーチェリーの違いにばかり注目していたのですが、ある時ふと気づきました。
「今までの胴造りは、間違っていたかもしれない。」
左引きを経験してから弓道に戻ると、胴造りの重心がズレている気がしたのです。
そこで当時の私は、師範に相談しながら徹底的に胴造りを見直しました。
今まで気づかなかった胴造りの癖。
修正するのに1ヶ月以上かかりましたが、この経験が私の弓道を大きく上達させてくれたのです。
それから私は、徒手稽古やゴム弓の日課に左引きを導入。
真剣に取り組んでみると、右だけで引いていたら分からない多くの気づきを得ることができました。
徒手稽古を左で行う場合のポイント
左引きで徒手稽古を行う場合、意識すべきポイントが2つあります。
- 左引き中の違和感
- 右引きに戻したときの違和感
ポイントは違和感です。
いつもとは正反対のことをするわけですから、必ず違和感があるはずです。
敏感な方なら、足踏みの段階で違和感が出ます。
- どの動作で違和感が出たのか
- 身体のどの部分に違和感があるか
最初は原因を探る必要はありません。
感じたことをそのまま把握し、メモしておきます。
左引きの徒手稽古を1分ほど繰り返したら、次は普段どおり右引きに戻しましょう。
このとき、いつもと違う感覚があれば必ずチェック。
メモに残します。
左右の徒手稽古を1分ずつ繰り返したら、メモにざっと目を通してください。
「打ち起こしで腰の向きが変な気がする」
「胴造りが不安定な気がする」
「大三が気持ち悪い」
「引き分けで肩に違和感がある」
違和感ですので、メモには漠然とした言葉が並んでいることでしょう。
今はそれでOK。
この練習は間違った思い込みのヒントを得る作業です。
なぜ違和感があるのか考えて、仮説を立てる。
これを繰り返すことで、思い込みと実際の動きのズレを見直せる可能性が高まります。
例えば右手を遠回りさせるつもりで引いたほうが、真っ直ぐな引き分けになる…という人もいるかもしれません。
やろうとしていることと、実際の動きは違う。弓道ではズレに気づいた人だけが上達できます。
ゴム弓を左で引く場合の注意点
徒手稽古の次はゴム弓を行います。
ゴム弓練習でも違和感を探してメモする作業が中心です。
大きな違いは、疲労感。
ゴム弓練習では筋肉的な負荷が強くなるので、徒手稽古のときとは違和感の傾向が変わるかもしれません。
左右交互に引くことで、身体のバランスを整える効果も期待できます。
注意点は、無理をしないこと。
初心者の頃を思い出してください。最初はゴム弓を引くだけでも、結構疲れたと思います。
左引きをするときのあなたは、初心者と同じ状態。
量をこなすのも大事ですが、最初は少しずつ身体を慣らしていきましょう。
素引きはやめておこう
次は素引き…と言いたいところですが、おすすめしません。
和弓は右手で引く前提で作られています。
素引きとはいえ左手で引くと、弓に想定外の負荷がかかる可能性があります。
もちろん左手で引いても壊れたりはしないのですが、射型を見直すだけならゴム弓で十分です。
他にもいっぱい新感覚の練習法
弓道の練習は単調になりがちです。
チェックポイントを変えて試行錯誤しながら練習したとしても、限界があります。
時には普通とは違う練習法を取り入れてみましょう。
当ブログでは、過去にいくつか練習法を紹介していますので参考にしてください。
4月までに上達するために
弓道は頭で考えて射型を見直すだけでは不十分。
今回紹介したような、具体的な新しい練習法を取り入れることをおすすめします。
時には練習場所を変えても良いでしょう。場所が違うだけでも新しい発見がありますよ。
会員以外でも有料で練習できる公営の道場もたくさんあるし、近くの大学の弓道部を見学するという手もあります。
一人でブツブツ言いながら黙々と練習するのは「下手を固める」だけ。
弓道で一番怖いのは、間違った思い込みを信じることです。