弓道で怖いをなくす方法は?恐怖心の克服は一歩ずつ

当ブログにこんな質問が届きました。

「会や離れが怖くなりました。

どうやって克服したらいいでしょうか。」

耳や腕を打ち続けると、怖くなってきますよね。

私も初心者の頃は同じでしたので気持ちはよく分かります。

やっかいな「怖い」という気持ち。

どうやって向き合えばいいのか。

多くの弓道家を見てきた経験からお話したいと思います。

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頬付けにこだわらない

弓道の怖いをなくす方法

まず即効性のある恐怖心克服法を紹介します。

「会で頬付けにこだわらず、矢を顔から離すこと」

今、真面目な人ほど「はあ?何言ってるんだ」と思ったことでしょう。

邪道だと怒っている人もいるかもしれませんね。

それでも、これがベストだと断言します。

恐怖心の克服は射法八節より優先するべき問題だからです。

私は過去に、多くの人を指導してきました。

その経験上、恐怖心への対処が遅れると誠実な人ほど「早気orリタイア」という道をたどることが多いのです。

恐怖心は弓道人生を左右します。

射型を整えるよりも優先順位は上だと考えてください。

弓道の恐怖心対策

恐怖心を取り除く

原因の修正作業を行う

これが恐怖心を克服する王道なのです。

特に弓道の恐怖心は痛み(怪我)・失敗体験が根拠になっています。

これは本能から沸き起こる相当に強い感情です。

この恐怖心に打ち勝つには「成功体験」「視覚・身体感覚を変えること」が絶対に必要になってきます。

ではここから、より具体的な対処法を説明していきます。

単に矢を顔から離すと言っても、方法や考え方を知ることが大切です。

恐怖心の境界線を知れば治る

弓道の恐怖心を克服する方法

先ほど、恐怖心に打ち勝つには2つの要素が必要だと言いました。

「成功体験」

「視覚・身体感覚を変えること」

成功体験は分かると思います。

弓道で言えば離れても痛くないとか、矢がきれいに飛んで中るのが成功体験ですね。

では、視覚・身体感覚とは何か。

今回の場合は「引き分け中に見える矢と顔の距離(視覚情報)」「会で矢が顔に触れる感触(身体感覚)」です。

恐怖心には必ず原因となる情報が伴います。

その恐怖心の原因を少しずらしてやれば、恐怖心は和らぐのです。

今回の場合で言えば頬付けです。

まずは弦が体に当たらず、恐怖心が湧いてこない距離を自分で探ってみましょう。

弓道と怖いという気持ち

顔に触れるか触れないかの距離でOKの人

矢1本分ぐらい離せば大丈夫な人

拳1個分離さないと怖い人

恐怖心の境界線は人それぞれです。

自分の境界線を探って、その距離を今の自分の「仮想頬付け」と考えてください。

顔から浮かせた状態で、成功体験(痛くない離れ)を積み重ねること。

これが第一段階です。

もちろん、これで終わるわけではありません。

頬付けを離すのは対症療法ですので、同時に原因の克服をしていきましょう。

引いてる間に手の内がズレている

弓道の恐怖心と手の内

矢を顔から離して痛くない離れを経験する。

それと同時に大事になってくるのは、耳を打つ・腕を払う原因を除去することです。

改めてポイントをお話します。

本来、手の内(角見)ができていれば離れの後、弦は体から遠ざかります。

弓の復元力で回転するからです。

弦が体にぶつかる人は、引いている間に手の内の中で弓がズレているのです。

そこさえ直せば、痛い思いをしなくてすみます。

そこで大事なのが、小指を締める意識。

小指で弓を支えている意識を離れの瞬間まで持ち続けることが大事です。

弓道の弓返りと小指

あなたは引き分け中「弓が回転して戻ろうとする力」を感じていますか?

最初に合わせた天文筋がズレないように弓を引けば、弓の復元力で回転しようとするのです。

これがズレてしまうと、弓に回転力が加わりません。

弓が手の内の中でズレないようにすること。

これが問題解決の絶対条件です。

素引きで耳を打つ・打たないが分かる

自分の手の内・角見ができているかどうか。

実際に離れをしなくても確かめる方法があります。

素引きです。

本番と同じように手の内を作り、会まで弓を引きます。

弓を戻したとき、弦が腕に近づいていたら失敗です。

素引きで弦の位置を確認して、100%ズレないようになること。

これができれば耳や腕を払うことはありません。

自分を褒めるは効果抜群

弓道

・頬付けにこだわらない

・素引きで弦の位置チェック

この2つで技術的な面は解決できます。

でも完璧とは言えません。

最後に必要なのはメンタル面の対策です。

技術的に解決しても、恐怖心はしつこく残ります。

そこでぜひ実践してほしいのが、自分を褒めることです。

自分を褒めるのが上手な人は弓道の実力も伸びるし、本番にも強いですよ。

褒めるのは小さなことでOKです。

「素引きで手の内がズレなかった、よくやったな!」

「耳を払わず離れられた、すごい!」

このように、自分を褒めましょう。

小さな声で良いので、実際に声を出すのがおすすめです。

このとき、完璧を求めないことです。

顔から矢を浮かせて離れていたとしても、耳を払わなければ褒めましょう。

その積み重ねが成功体験になって、恐怖心を克服するエネルギーになります。

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“弓道で怖いをなくす方法は?恐怖心の克服は一歩ずつ” への3件の返信

  1. 分かっているのに出来ない辛さを受け入れてもらえ、大袈裟かもしれませんが救われた思いです、言葉を選び、丁寧に暖かく励ましてくださりありがとうございました。
    「1mmずつ」自分のペースでやってみます。
    引き分けができるようになったら、また報告いたします。

  2. 学生時代に二段を取得、その後ブランクを経て、コロナ禍に弓道に戻りました。昨年、馬手の形を直されている最中に暴発してしまい(弦枕から弦が外れた)右頬を切ってしまいました。それ以降、引き分けが怖くなりました。引き分けの途中で馬手が止まってしまい、あとは無理矢理引っ張って会にしている感じです。このため矢尺は短く、馬手は平付けにならないように握りすぎで矢がしなって飛び、それでも暴発を何度か繰り返し、半分くらいしていた弓返りも全くしなくなりました。当然矢所はバラバラです。
    自分の中で解決するしかないことは分かっていますが、こんな状態になってはや一年も過ぎてしまいました。周りでもここまで怖がっている人はおらず、たった一人で闇の中にいる気分です。
    あたり云々より、ただ以前のように無心で弓を引きたいです。このまま弓道から離れたくありません。
    頬付けをしないと怒られます。素引きはこんな状態なので、会まで引けません。どのようにして成功体験を作ればいいのかわかりません。
    何か一言で結構ですので、こんな私に声をかけてください。

    1. 由美子さま

      はじめまして、コメントありがとうございます。
      コメントを読ませていただくと、怪我・暴発をきっかけとした恐怖を抱えながらも、弓道と精一杯向き合っておられる姿が、ありありと伝わってきました。そのひたむきな姿勢、尊敬いたします。

      特に「無心で弓を引きたい」という強いお気持ちについては、過去に私自身が重度の早気で引退を考えたこともあるので、少しは理解できるつもりです。

      正直に申しますと、どのようなお返事をすればよいのか、大変悩みました。

      正攻法で取り組む場合、やはり素引きを利用するのがよいのではないかと思います。

      まず、いきなり「正常な会」をめざす必要はありません。
      恐怖心が強くなるポイントまで引き、ゆっくりと戻す、まずはこれを繰り返してみてください。

      そして、途中で戻す素引きを繰り返しながら、恐怖心が強くなるポイントを1mmずつずらしていくぐらいの気持ちで、引き尺を広げていくのがよいと思います。
      前回の練習より、少しでも引き尺を広げられたら、それは立派な成功体験です。

      人の目につかない場所で練習するのであれば、頬付けをしない、射法八節を無視するという練習を行う手もあるのですが、なかなか難しいですよね。
      本来、恐怖心やイップスというのは、ルーティンやフォームを変えるのが一番の特効薬になるのですが…弓道ではすぐに「邪道」「ふざけるな」と言われてしまうのが辛いところです。

      今回の由美子さんのコメントを読ませていただき、悩んでいる方が自由に試行錯誤できる弓道場を建てたいという気持ちが湧いてきました。
      何年かかるかわかりませんが、ぜひ実現させたいと思います。

      話がそれましたが、弓道から離れたくないというお気持ち、とても感動いたしました。
      ほんの少しずつ、1mmずつでも前に進んでいけるよう、応援しています。

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