本日はこんな質問が届きました。
さて、弓道家なら誰もが一度は思う疑問ですよね。
中仕掛けの太さと言っても、二つの部分に分けて考える必要があります。
矢を番える部分
懸け口(弦を引っ掛ける溝の部分)
太さを変えると的中率に影響するのか?
私が何度も実験して得た感想も含めて解説します。
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スポンサーリンク一般的に言う適切な太さ
まず最初に、どの程度なら太いのか・細いのかという問題を整理しておきましょう。
一般的に中仕掛けの適正な太さは、このような条件で表現されることが多いです。
・スムーズに筈を番えられる
・矢を番えた後ぶら下げても落ちない
・ゆすっても矢が落ちない
そこで今回は、太い・細いをこのように解釈します。
細い:ぶら下げたら矢が落ちる
それではここからが本題です。
中仕掛けは太さによって、あなたの射に色々な影響が出るんですよ。
筈の位置が太いとこうなる
まずは矢筈との接点が太い場合です。
私は何度も実験を繰り返しましたが、矢を番える部分が太くても矢飛びや矢所に影響はありませんでした。
矢を番える部分を太くするメリットは、空筈(引いてる途中で矢が弦から外れる)のを少し予防できることです。
安全性を高める効果があるかも…ぐらいのイメージですね。
ただし、8キロ前後の弱い弓になると影響が出てきます。
中仕掛けが太いと、矢が少し後ろに飛びやすくなる傾向があるようです。
まあ的から外れるほどの影響ではありませんけどね。
的の中央に矢所が集まっていたのが、的の7時付近(ただし的枠内)に集まる程度の差です。
私が引いたことのある弓で一番弱かったのは、5キロの弓。
このレベルになると影響はもっと大きくなります。
筈の位置が細いとこうなる
次は反対に、矢筈と弦の接点部分が細い場合です。
やはり先ほどと同様に、矢飛びや矢所への影響はほとんどありません。
空筈のリスクを高めるという点を考慮すると、細くするメリットはないと言ってもいいでしょう。
強いて言えば見た目がスッキリ綺麗な点ぐらい。
私も個人的には中仕掛けは細めが好きなのですが、空筈を経験してからは適切な太さを維持するようにしました。
8キロ以下の弱い弓の場合は、矢は上に抜けやすくなるとも言われますが…正直実感できたことはありません。
懸け口の位置が太いとこうなる
ここからは視点を懸け口周辺に移します。
この周辺を太くすると、離れが引っかかりにくくなる効果が期待できます。
たまに、かけの弦枕を削って低くしている人がいますよね。
中仕掛けを太くすれば、それと同じ効果が得られます。
もちろん、これだけで離れの問題が全部解決するわけではありませんよ。
離れは射法八節の結果です。
引っかかるのは会より前の引き方に問題があるのですから。
勝手が握り込んでいたら、どんなに中仕掛けを太くしてもダメです。
とはいえ、矢飛びに影響しない違和感レベルの引っかかりなら中仕掛けを太くすることで解消する可能性が高いです。
試す価値はあると思います。
ただし、あまりに太すぎると懸け口に入らず暴発のリスクが高まります。
何事もほどほどに。
懸け口の位置が細いとこうなる
次は反対に、懸け口周辺の中仕掛けが細い場合です。
一般的には、引いてる途中で弦が懸け口(親指付け根の溝)の中で踊ったり、離れで引っかかりやすくなると言われています。
ただし、この説はあくまでも一般論。
感覚的にそう思うだけで、矢飛びや矢所への影響はほとんどありません。
メリットもないので、あえて細くする必要はないでしょう。
こうして改めて考えると、中仕掛けを細くするメリットは美的センスだけですね。
私は細くしたい派なのですが。
中仕掛けは麻じゃないとダメ?
中仕掛けにこだわる人は「麻のほうが絶対良い、他は認めない」なんて言う人がいます。
ただ実際のところ、中仕掛けの素材は麻でなくてもOKです。
素材で矢飛びや的中率に影響することはありません。
弓神・響・金龍・かえる弦…
色々な合成弦がありますが、切れ弦をほぐしたもので十分。
こだわりは個人の自由ですが、他人に押し付けないようにしましょうね。
中仕掛けの露は必要か
中仕掛けと言えば、露(雫とも言う)を作るかどうかも大事な要素です。
結論から言えば必要です。
番える場所を一定にすることで、不確定要素を一つ減らせるのは大きいですよ。
確かにちょっと不細工だし、見栄え良く作るのは面倒です。
それでも作らないのはもったいない!
弓道は高度な精度を求められる武道です。
常に一定の条件を再現できるかどうかを問われているわけなので、あやふやな条件を減らす努力を惜しんではいけません。
色々と試すと面白い
いかがでしょうか。
中仕掛けは適切な太さか、やや太めのほうがメリットが多そうです。
もちろん私のように、あえて細い中仕掛けを愛用するのも否定しませんよ。
好みは人それぞれ。
でも1度は色々と試すのも新たな発見があって面白いです。
ぜひチャレンジしてくださいね。