弓道に限らず、日本の武道や伝統芸能では左利きへの配慮がないとよく言われます。
左利きでこれから弓道を始めたいと思ってるなら安心してください。
弓道では左利きが有利だと感じることが多々あります。
今日は弓道と左利き・右利きの話をします。
本ページはプロモーションが含まれています
スポンサーリンク弓道の弓に左利き用はない
まず、弓道には左利き用の弓は存在しません。
誰もが左手に弓を持ち、右手で弦を引きます。
アーチェリーでは左利き用の弓もあります。
アーチェリー場では時々こんな風景も見られます。
弓道もアーチェリーも歴史はかなり古いのに、この違いは何なのか?
調べてみると、文化の違いが反映されていることが分かりました。
弓道に左利き用の弓がない理由①
弓道に左利き用の弓がない理由として、3つの説があります。
まずひとつ目は、神棚を祀っている道場が多いことです。
弓道場に行くと、上座に神棚を祀っている道場が多いことに気づきます。
特に高校や大学の敷地内に設置された道場では神棚がある場合が多いですね。
部活の開始と終了時に一礼している学校も多いでしょう。
仮に、左利き用の弓が存在した場合、神棚にお尻を向けて弓を引くことになりますね。
武道の神様に対して失礼になるので避けた…というわけです。
「なるほど…」と言いたいところですが、この説には矛盾点が一つあります。
実は、道場に神棚が設置されるようになるのは明治以降の話です。
江戸時代の道場は「稽古場」や「演舞場」と呼ばれていて、単なる技術練習の場。
神棚が設置されることはほとんどありませんでした。
弓道に左利き用の弓がない理由②
2つ目の理由は、和弓の性質によるものです。
日本の弓は長弓を使っています。アーチェリーやモンゴルなどの騎馬民族が使っていた弓の倍ほどの長さです。
これは飛距離と威力を重視するため。
そして矢が無くなった後や弦が切れた場合でも、槍代わりに使えるというメリットがあったためです。
余談ですが、日置流印西派には矢が尽きた後の戦い方の教えがあります。
矢が尽き、弦が切れようとも最後まで戦えるようにしていました。
重い矢を遠くに飛ばせる長弓ですが、デメリットもあります。
ある程度スペースがないと使えない点です。
戦場では集団で戦います。
もし、長弓を使う弓部隊が左右入り混じっていたら…
弓がぶつかって素早く対応できない。
戦場で致命的な隙が生まれてしまいます。
弓道に左利き用の弓がない理由③
日本では昔から左利きを避ける風習がありました。
武家の場合、左利きでは栄えていた家が傾くと考えられていたので必ず右利きに矯正させられました。
このような点から、弓道では左利き用の弓をつくるメリットがなかったのです。
弓道は左利きが有利
様々な理由で左利き用の弓が存在しない弓道ですが、実は左利きのほうが有利ではないかと言われています。
弓道では弓を持つ左手を重視しています。
弓道をしていると、よく「引っ張るな」「押しが弱い」と言われます。
弓道では正確な狙いを定めるために左手の役割がとても大きいです。
そのため左利きの方が有利と言われます。
私が見てきた中でも、左利きの弓道家はたくさんいました。
右利きの人と比べて、特に不利だと感じることはなかったそうです。
ちなみに、私は半年だけ大学でアーチェリーをやったことがあります。
弓道への影響を避けるため、左利き用の弓を使わせてもらいました。
私は右利きなんですが、左利き用の弓を使ったところ案外しっくりきます。
弓道でも左で引いてみたいと思うぐらい引きやすかったです。
弓道では左利きは決して不利になりません。
むしろ、矢を真っ直ぐ力強く飛ばすために有利になると思います。
>>弓道とアーチェリーの違いをもっと詳しく知りたい人はこちら
高校のアーチェリー班に所属している者です。
今年も班員の勧誘をする為にはやはり弓道班の存在が大きく…毎年1年生は「弓道とどう違うのか」を聞いてきます。その時にちゃんと答えられるように両者の知識が無くてはいけないのですが、この記事はどちらも公平に取り扱っているのでとても為になります。ありがとうございました。
しか様
コメントありがとうございます。
アーチェリー班と弓道班は、新入生勧誘では宿命のライバルですね。
道具の違い、ルールの違い、文化の違い…色々ありますが、とっさに説明するのは難しいですね。
しか様のようにしっかりした人がいる部活なら、きっと新入生も入ってよかったと思ってくれることでしょう。
新入生の勧誘、がんばってくださいね。