弓道で強い弓を引くメリットとは?実はデメリットの方が多いかも

今回、読者さんからこんな質問が届きました。

「強い弓を使ったほうが上達が早いって本当ですか?」

強い弓をかっこよく引いている人を見ると、憧れますよね。

でも、ちょっと待った!

私はそれで大失敗したことがあります。

過去に、私は20kgの弓を引いていたことがありました。

でもあの頃を振り返ると、今でも後悔しているのです。

今回は体験談をもとに、メリット・デメリットを話したいと思います。

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なぜ強い弓を引きたがるのか

弓道

弓道には「強い弓が良い派」「無理することない派」がいます。

私が勝手に命名しました(笑)

強弓が良い派の主な主張をまとめると、こんな感じです。

・小手先が通用しないから上達が早まる

・安定感が増す

・射型の乱れ始め(前兆)に敏感になる

さて、あなたはどう思いますか?

特に「小手先が通用しないから…」という理屈は説得力があるように思いますよね。

ところがです。

現実はそう甘いものじゃない。

強い弓に飛びついて、ダメになってしまう人が大勢いるのです。

強い弓でダメになるって何?

強い弓の良さを聞くと、とても魅力的に感じます。

でも、それはデメリットを見ていないからです。

強い弓には、こんなマイナス面があります。

・小手先を助長することが多い

・的中率が下がる

・射型が崩れる

・体を痛める可能性が高まる

強い弓を引く理由として語られる「小手先が通用しない」という理論。

これは、実際にはマイナスに作用することが多いです。

人間って、本当によくできています。

強い弓を引くと、本能的に自分の体を守ろうとするのです。

射が未熟な人が強い弓を引くと、どうにか弓の力を逃がそうと体が反応し始めます。

・肩を上げる

・体を捻る

・手だけで下ろす

色々な方法で、出来る限り体に弓の力が来ないようにしてしまう。

結果的に射型が縮こまってしまうのです。

厄介なことに、この変化はすぐには起きません。

最初は今まで通りの射型をキープできることが多いのです。

本人が自覚できないぐらい少しずつ崩れる…

自分や周りが気づいた頃には、すぐ修正できないぐらい体に癖が染み付いてしまいます。

弓道

こうなると的中率は下がる。

中てたいから、小手先で制御しようとしてしまう。

悪循環です。

さらには不自然な射型で、体の一部分に負担が集中すると炎症を起こします。

心技体、全てに狂いが生じるのです。

私は今まで、何人もこのようなパターンを見てきました。

もちろん注意するのですが、聞いてもらえないことが多いですね。

「自分はできる」という自信と優越感。

最初は的中率が変わらないから、余計に大丈夫だと思ってしまうのです。

そもそも、弓を強くしても的中率は上がりません。

12kgもあれば的中率8割以上を達成することは可能です。

弓を強くすることに、大したメリットはないのです。

下手すりゃ引退一直線だった私

偉そうに言っていますが、私も以前は同じでした。

特に高校生の頃、強い弓に憧れた時期があったのです。

高校2年生から3年生にかけて、こんな風に弓を取り替えては試していました。

高2の4月:13kg

高2の7月:15kg

高2の10月:20kg

高3の4月:15kg

短い期間で、コロコロと弓を替えました。

高2の7月の段階では的中率が大きく向上していたので、調子に乗っていたのかもしれません。

部の倉庫から、古い弓を引っ張りだしては試す日々。

20kgの弓を引いたときは、誇らしかったのを覚えています。

でも、これがいけなかった。

的中率はどんどん低下。

射型は、自分でも分かるぐらいに不自然な状態に…。

弓道

そのうち、肩に違和感が出るようになってしまいました。

毎日、違和感や痛みを誤魔化しながらの弓道生活。

試合は休みたくないし、必死でした。

もっと肩の状態が悪くなっていたら、試合に出られず高校弓道を引退していたでしょう。

なんとか引退は回避できましたが、今でも悔いが残ります。

高校生活や大学生活はあっと言う間です。

怪我すると、回復する頃には公式戦が終わっているかもしれません。

社会人なら「また来年」でも良いですが、高校弓道や大学弓道ではそうはいかない。

今このブログを読んでくれている、そこのあなた。

不用意に強い弓に手を出して、私のように後悔しないようにしてくださいね。

それでも強い弓を使いたい人へ

それでも強い弓を引いてみたい。

その気持ち、よく分かります。

チャレンジするのは良いことですが、正しい方法で挑戦しましょう。

以前「弓道で弓を買ったら中らないを防ぐ」のときにも言いましたが、弓の強さを変えるなら慎重に行うべきです。

できれば1kgずつ、ジワジワと上げていくのがおすすめ。

これならマイナスの影響を減らしながら強い弓を引くことができます。

弓道

例えば、あなたが12kgの弓を引いていて、15kgの弓を引きたいと思った場合。

まずは13kgの弓を1ヶ月使ってみる。

慣れてきたら14kgの弓を1ヶ月。

いきなり15kgに挑戦するのはおすすめしません。

徐々に体を慣らしながら、強くしていくべきです。

そしてもう一つ言うなら、男性でも18kg以上の弓に手を出すのは危険です。

かなり体を鍛えていないと、負担が大きすぎます。

遠的を意識しないなら、弓の強さは12kgでも十分です。

強くても16kg程度で良いと思いますよ。

それ以上になるとデメリットの方が目立ちます。

強い弓に憧れる気持ちは分かりますが、落ち着いてよく考えてから挑戦してくださいね。

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