弓道で集中力を高める方法は?昔の武士の話がすごい

弓道

弓道は集中力が大事だとよく言われます。

「己との戦いだ」

こんな風に言われたことありませんか?

みんな簡単に言いますが、実際どうすればいいのでしょうね。

悩んでいる人のために、私なりの解決方法をご紹介します。

「集中」を勘違いしていると言われた

私は日置流印西派摂津系です。

高校生だった当時、師範によく怒られました。

弓道で無心

「お前は集中という意味を勘違いしている」

当時の私は、一心不乱に的に向かうことが集中だと思っていました。

でも、師範から「ある昔話」を聞いて考え方が変わったのです。

集中力アップで自滅した武士の話

ロウソクの一点凝視法って知っていますか?

昔から行われていた集中力アップの方法です。

己の心の内と向きあうことができるので、世界中で行われていました。

ロウソク

方法は実にシンプル。

ただひたすら、ジッとロウソクを見つめる。

その昔、この方法を徹底的に実践した武士がいたそうです。

師範から聞いた話の概要をザックリまとめると…

「江戸時代中期、ある若い武士がいました。

その武士の弓の腕前は一級品。

練習では、ほぼ百発百中だったそうな。

弓道と武士

ところが、勝負ごとになると全くダメ。

勝負がかかった最後の1射を、必ず外してしまう。

若い武士は悩みました。

己の弱さをどう克服すればよいのかと…

そこで、目をつけたのがロウソクの一点凝視法。

己の弱さを見つけ、退治したい。

来る日も来る日も凝視し続けたのです。

ロウソクと弓道

ロウソクの炎を見つめる生活を続けるうちに、武士にある変化が起こりました。

考えることは弓のことばかり。

仕事中も上の空。

弓道に魂を捧げているかのようでした。

そして、弓の練習方法も変化しました。

夜中、ロウソクの炎を的にして行うようになったのです。

そんな生活が半年ほど続いたある日。

集中力アップの成果を試す機会がやってきました。

仲間とのお遊びの射会。

負け続けていた勝負の場です。

武士には絶対の自信がありました。

集中力を会得した自分が負けるはずがないと…

ところが、ここで異変に気づきました。

昼間だというのに、的がよく見えない。

どこを狙えばいいのか分からない。

弓道と就活

結局、勝負は惨敗。

そこで武士は初めて気づいたのです。

自分の目に異常が起きていることを…

ロウソクの炎を長時間見つめる生活のせいで、視力が低下していたのです。

武士は集中力に執着するあまり、健康な目を失ったのです。」

この昔話の教訓

この話が実話か創作か。

本当のところは分かりません。

ですが、この昔話には重要な教訓が含まれています。

「集中力」と聞いて、あなたはどんなイメージをしていますか?

周囲のことが目に入らず、自分と的だけを意識する。

これが集中でしょうか?

弓道と集中力

では「緊張で周りが見えなくなる」状態との違いは?

この昔話の教訓は、まさにこの点です。

集中力は、自分の殻に閉じこもることではない。

師範が私に伝えたかったのは、このことだったのだと思います。

そもそも何に集中するの?

的しか目に入らない状態が集中だと思っていた当時の自分。

それは違うというのが、師範の教えでした。

「猪突猛進と集中は違う。

自分を見失い、周りが見えていないのは集中ではない。」

的

まさに目からウロコ。

私の弓道人生のターニングポイントだったかもしれません。

では、正しい集中って何なの?

私はこう解釈しました。

「五感を研ぎ澄まし、自分も含めて周囲の状態を客観的に見ること。」

・足先から頭のてっぺんまでの状態

・弓の動き

・前後の人の動き。

・風

・的の周囲

・応援している人達

集中力が増すと、自分を含めて周囲の状況を客観的に見れるようになります。

弓道と集中力

集中していない人ほど、1つのことしか見えていません。

「応援してる人たちの視線が気になる」

「他校の応援の声が気になる」

「まぶしい」

「手が震える…どうしよう」

1つの物事に意識を引きずられて、客観的に見えていない。

弓道の集中力は、周囲の状態を冷静にキャッチすること。

シャットアウトして自分の殻に閉じこもろうとするのは逆効果です。

集中したいときこそ、周囲をくまなく観察する。

そして、その中にいる自分の状態も観察する。

こういう意識が必要だと思います。

試合直前に一人でジッとする人は弱い

ちょっと抽象的な話が多いですね。

ここで、もっと具体的な話をしたいと思います。

集中力を手軽に高める方法。

実は、科学的に実証されているんですよ。

方法は2つ。

・仲間と会話する

・軽い有酸素運動をする

弓道と友達

理由は、Youtubeのこの動画を見ればわかると思います。

ドーパミンの分泌が集中力に関係しているそうです。

共感できますか?

私は「なるほどな」と思いました。

初皆中が有酸素運動後だったからです。

私の初皆中も有酸素運動後だった

弓道

私が高校2年生のころ、試合前はいつもピリピリしていました。

「集中したいから、一人にしてくれ」

偉そうに、仲間を遠ざけていたんです。

今思うと、ちょっと中二病が入っていて恥ずかしい…

でも当時は真剣です。

「一人にならないと集中できない」と思っていました。

ところが、その考えが大きく変わる出来事がありました。

その日は、学校内の月例射会。

お昼ごはんを外に食べに行ったら、混んでいて予想以上に時間がかかったのです。

慌てて自転車で戻ると、開始ギリギリ。

10分は休憩できたのですが、足はパンパン。

ようやく息が整ってきた頃に、自分の番がまわってきました。

「こんな状態じゃ絶対ムリだ…」

絶望的な気持ちでした。

弓道と集中力

ところが、結果はなんと皆中!

今までずっと皆中できず悩んでいたのに、あっさりできてしまいました。

もしかすると、自転車で有酸素運動効果が出たのかもしれません。

まとめ

いかがでしょうか。

弓道で集中したいときは、一人孤独に殻に閉じこもるのは絶対にNG。

・軽く走る

・体操する

・踊る

・仲間と話す

体を動かし、周りとコミュニケーションをとるのが1番の近道です。

そして、本番では自分と周囲を客観的に観察すること。

そうすれば、冷静に対処できるようになります。

でも、客観的に観察ってどうやるのでしょうか?

実は簡単な方法が1つあります。

詳しくは「弓道で緊張しない方法」にまとめています。

良ければそちらもご覧ください。

弓道で皆中するコツは?できない人とできる人の考え方の違い

弓道

「皆中」っていい響きですよねえ。

試合中に初めて4射皆中したこと、今でもよく覚えています。

実力が上がってくると、何度もチャンスが巡ってきます。

○○○…

残りの1本、なぜか中らない。

もうあと一歩が出ない人と、すんなり皆中できる人の差ってなんだと思いますか?

“弓道で皆中するコツは?できない人とできる人の考え方の違い” の続きを読む

弓道で1本目が中らない人へ【1射目や大前が好きになる方法】

弓道

私は弓道で試合に出る時「大前をさせてほしい」と必ず言ってきました。

自分のペースを作れる大前が大好きなのです。

なぜこんな話をするかというと、このブログを見てくださった人からこんな質問をいただいたからです。

試合になると1本目が中りません。なぜ?皆中したいです。

今回は、1本目の的中率を向上させる方法を考えてみたいと思います。

「無心になれ」なんて誰が言った?

この手の話をすると、必ず「余計なことを考えるからだ。無心になれ」なんて言う人が出てきます。

これほど役に立たないアドバイスが他にあるでしょうか。

いや、ない(笑)

弓道で無心

すみません。

昔、偉そうなのに実力がない先輩に言われたことを思い出してしまいました…

弓道は精神論でごまかす人が多すぎます。

では具体的にどうすればいいのか?

私はこう思いました。

「試合で大前が好きな人の考え方を知るのが近道」

試合で大前になるのが好きな人は、1本目の的中率に自信があるはず。

(実際の的中率が良いかは別)

その人の考え方を学べば、自信がつくと思いませんか?

ここで私の考えを書き連ねてもいいのですが、今回はもう少し客観的な情報をお伝えしようと思います。

ポジティブな考え方は練習で作れる

スポーツ心理学という言葉をご存知ですか?

スポーツ心理学は知らなくても「メンタルトレーニング」なら聞いたことがありますよね。

「1本目が中らない」という悩みも、心理的なもの。

解決するにはどうすればいいのでしょう?

実はこれ、スポーツ心理学でいうところの「特性」と「状態」で説明できるんです。

特性とは、その人の考え方の傾向。

考え方の癖と言ってもいいかもしれません。

状態とは、ある時点での心のあり方と言えばいいでしょうか。

緊張、イライラ、気分が良い…常に移り変わる心を指します。

緊張

人の行動は、特性と状態によって変化します。

そしてこの特性は、訓練すれば変えることができます。

「1本目が中らない」と思っている人は、最初の1射をネガティブに考えています。

まず、その考え方の癖を変えてあげればいいのです。

1本目を中てる対策①

今のあなたは1本目に対して「不安」「外しそう」と思っています。

これを変えるにはどうすればいいのでしょうか?

まずやってほしいのが、思い出すこと。

1本目が中らないと言っても、弓道人生で1度くらいは中ったことがあるでしょう?

例え試合でなくても、練習中ならどうでしょうか。

練習中も、必ず1射目は外しますか?

そんなことありませんよね。

練習中も含めれば、必ず中ったことがあるはずです。

(ないなら、単なる実力不足)

弓道と成功体験

この「思い出す」という行動は、スポーツ心理学でとても重要なことだと考えられています。

本番に弱い人は、過去の失敗を思い出す傾向があります。

逆に本番に強い人は成功体験を思い出すことが多いのです。

失敗体験を思い出すことが多い人も、意識して成功体験を思い出す練習をすることで心理状態が変わってきます。

あなたは試合の直前、成功体験を思い出してワクワクしたことがありましたか?

たぶんないと思います。

過去に1本目が中った記憶を呼び起こすだけでも、プレッシャーから開放されます。

試合の直前こそ、成功体験を思い出す。

これなら、今すぐにでもできますよね。

最初は違和感があるかもしれません。

もし成功体験を思い出せない人は「成功体験ノート」を作ってもいいかも。

弓道で上手くいったことをメモしていくのです。

・練習中に矢飛びが綺麗な射があった。

・3連中できた

・気になる人が見ている前で中った

こんな風に、小さな良かったを毎日書くといいですよ。

考え方の癖は直せます。

メンタルを改善したいなら、ぜひ試してみてください。

1本目を中てる対策②

もう1つ挑戦してほしいことがあります。

それは、1本目の快感を見つけること。

今はピンとこないかも知れません。

私自身の気持ちを言うとするならば…

「新品のノートに初めて書き込む瞬間」の気持ちに似ています。

弓道の試合は、自分が行動しなれば状況が動きませんよね。

この手で矢を射ることで、初めて試合が始まるのです。

まるで自分だけの作品を作り上げるような、ワクワクした気持ちになります。

ちょっと分かりにくいですか。

例えば、新品の的に中てた瞬間って気分がいいでしょ?

その感覚に近い…かも。

失敗の可能性を考えても良いことはありません。

不安や緊張を感じたら、良かったことを思い出す。

試合中の楽しみを見つける。

これはネガティブな性格でも意識すればできます。

メンタルトレーニングも弓道の練習の一つと思って、取り組むことをおすすめします。

>>弓道の試合前の準備体操はこちら