「モミジ」と「カエデ」の違いを調べると「植物の分類上は同じグループ」であることが分かります。
葉っぱの形で区別する傾向があるらしい。
これって不思議だと思いませんか?
というのも、パッと遠目に見た感じではそんなに違いがありません。
しかも厳密に区別しているわけでもないのです。
例えばこちらの葉。
典型的な「モミジ」の形ですが地元の人は「カエデ」と呼びます。
どうにもスッキリしません。
気になったら止まらない!
なんでこんなにややこしいのか調べてみました。
モミジとカエデの語源
カエデとモミジのややこしさ。
語源にヒントがないか探ってみました。
カエデの語源は葉っぱが蛙の手に似ていることだと言われています。
「かえるで→カエデ」という流れです。
それに対してモミジは動詞が由来となっています。
葉が紅や黄に変色するという意味の動詞「もみつ」が転じたもの。
ただし、初期のころは品種の区別はなく、葉が色づく様子を「モミジ」と言いました。
時代が移り変わるにつれて、特に色鮮やかなイロハモミジなどに対象を絞って使われるようになりました。
でも、これでは「なぜ葉の形で区別するという解釈が生まれたのか」が分かりませんね。
さらに詳しく調べてみると、江戸時代にヒントがありました。
葉っぱの形で区別されるようになった理由
唐突ですが、日本で1番モミジとカエデを厳密に区別している人は誰でしょうか?
答えは盆栽をやっている人たちです。
盆栽では葉の切れ込みが5つのものをモミジ。
それより少ないものはカエデ。
はっきり区別して栽培や販売が行われます。
この区別が「モミジ」「カエデ」の解釈につながっています。
実は元禄のころ、盆栽の大きなブームが沸き起こったのです。
当時は「生類憐れみの令」の影響でペット(家畜)を飼う人が激減。
そんな中で園芸に注目が集まったのです。
元々、家康や秀忠、家光は園芸好き。
その影響で武士たちは園芸に親しんでいました。
その下地があって、元禄になってあっという間に人気が急上昇。
最初は暇を持て余した武士たちの間のブームでした。
それが次第に町民まで広がっていったのです。
特に人気だったのがカエデを始めとした木の盆栽です。
見栄えがよく、種木が簡単に手に入る。
そして品種改良がしやすい。
このことが当時の人達を引きつけました。
そうして美を競い合ううち、切れ込みの少ない品種をカエデ、5つのものをモミジと区別するようになったのです。
古い地域では曖昧なことが多い
カエデ(モミジ)は、古くから日本人の生活に密着していました。
そのため、地域によっては切れ込みが5つでも「カエデ」と呼ぶ地域もあります。
その逆もあります。
呼び名が少しずつ変化していったなごりで、曖昧さが各地に残ったのです。
こう考えると「モミジじゃないよカエデだよ」と指摘する人は無粋に見えますね。
元禄のころには「モミジは花に勝る」と言われることもありました。
時代を超えて愛され続ける。
これこそが最大の魅力なのかもしれません。