弓道で弓力を下げると良くない?実際はこうだ

昨日、こんなメッセージが届きました。

「今15kgの弓を引いていますが、強すぎると感じます。

下げたいのですが、先輩に下げるのは良くないと反対されました。」

弓の強さを下げるのは良くないという話、どこかで耳にしたことがあると思います。

実際はどうなのか?

私の実体験と、数多くの人を観察して分かったことをまとめました。

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良くない派に根拠なし

弓道

まず私の結論から言います。

弓力を下げるのは良くないというのは、根拠がない精神論であると考えています。

なぜそう思うのか?

まずは弓力を下げると良くないという人達の根拠を確認してみましょう。

「弓を弱くすると手先で余計な動きをしてしまう」

「強い弓を引けば、自然と正しい射型が身につきやすい」

要約すると、この2つを理由にしている人が多いです。

思わず「なるほど」と言いたくなるかもしれませんが、よく考えてみてください。

この理屈、変だと思いませんか?

強い弓でも、余計な動きをしてしまう人はします。

弓を強くしても間違った射型で上達しない人もいます。

弓道の弓力を下げる

弓力を上げるだけで上達するなら誰も苦労しません。

強い弓でも小手先を使おうと思えばいくらでもできますし、合わない弓は体を壊すリスクも上がります。

さらに言うなら、強い弓で正しく引ける人なら弱い弓でも正しく引けます。

体に染み付いた射法八節は、弓力を下げたぐらいで崩れません。

あなたの周囲にいる5段以上の高段者だって、弓の強さにこだわっていないはずです。

弓力を下げるのは良くないというのは、楽するのは良くないという感情から生まれた幻想

弓力が強すぎで自分に合わないと感じたら、迷わず下げるべきです。

実際に弓力を下げて大成功

弓道

私自身も、何度か弓を変えています。

弓力もコロコロ変わりました。

12kg

13.5kg

16kg

13.5kg

この数字を見てもらえば分かる通り、一度16kgまで上げましたが13kgまで下げています。

細かく言えば、2週間ぐらい18kgや20kgを引いた時期もありました。

でも結局13kgまで戻したのです。

弱い弓に戻った後、どうなったか?

はっきり言って良いことだらけでした。

特にメリットを感じたのは、次の2点。

・手の内(角見)が楽になった

・離れが素直になった

強い弓を使いこなすためには、手の内の質が重要になります。

弓の力に負けず、しっかり角見を効かせるのは大変です。

手の内と人差し指

弓力を下げることで手の内が楽になり、引き分けにも余裕が生まれました。

結果的に素直な離れができて的中率も向上しました。

「強けりゃ良いってもんじゃない。」

当たり前のことなのですが、体験して初めて実感できたように思います。

上げる方がリスクが大きい

弓道

今まで多くの人を見てきて感じるのは、下げるより上げるほうがリスクが大きいということです。

以前「弓道で強い弓を引くメリットとは?」でも言いましたが、強い弓を引き始めてから調子を崩す人が多いのです。

強い弓に適応するまでの間は、防衛本能が働いて射が小さくなりがち。

結果的に手引きになって射型が崩れてしまいます。

2kgでも弓力を上げると、慣れるまで時間がかかります。

3ヶ月は巻藁でじっくり練習したいぐらいです。

社会人ならじっくり時間をかけられるから、それでも良いでしょう。

ゆっくり弓に体をなじませるだけです。

でも問題は高校生や学生さん達です。

公式戦や他校との交流戦、部内の月例射会などイベントがたくさんあるはず。

じっくり慣れるまで待っている余裕がありません。

弓道の試合

体が馴染みきっていないのに、結果を追い求める。

歪みがどんどん大きくなっていき、最終的に大スランプに陥ります。

調子を崩してから弓を戻しても、すぐ元に戻りません。

下手すれば半年、1年かかります。

そうやって調子を崩したまま引退していった人を何人も見てきました。

寂しいことです。

弓道

もし今、あなたが弓力を下げたいと感じているなら…すぐ下げましょう。

無理しても時間の無駄です。

強い弓に慣れるために時間をかけるぐらいなら、悪い癖を修正することに集中したほうが上達は早いでしょう。

的中率だけで言うなら、弓力は12kgもあれば十分。

腕っぷしに自信がある人でも15kgまでに抑えるべきです。

15kg以上の弓を引くメリットといえば、自慢できることぐらいではないでしょうか。

適正な弓力の見つけ方

弓道

自分にとって適正な弓を使うことが、上達の近道。

では、どうすれば適正な弓力を判断できるのでしょうか。

綺麗な言葉で表現するなら「自然体で引けるか」がポイント。。

強いと感じない程度の弓が適正です。

ぶっちゃけた感じで表現するなら「ちょっと物足りない」ぐらいが適正な強さです。

物足りないということは、弓の強さに対して負担感が少ないという証拠。

自然体に近い状態で引けています。

弓道の取り懸け

適正な弓力を見つけるとき、他人の判断はあてになりません。

射型がしっかりした人なら、少しぐらい強い弓を引いても見た目には引けているように見えます。

でもそれが適正な強さだとは限らないのです。

頑張って引いてるうちは、適正とは言えません。

上げるとしても、じっくり時間をかける覚悟はしておきましょう。

弱すぎる弓は不利

強い弓にこだわるメリットはありません。

ただし、10kg以下の弱い弓は試合で不利です。

的中率5割以上をキープしたいなら最低でも11kgは必要だと思います。

弱い弓は矢の放物線(軌道)が大きくなって、上下にブレやすいです。

特に慣れない試合会場では、上下の狙いがズレやすいのでおすすめできません。

(詳細は「弓道で試合になると中らない人【錯覚を起こして狙いがズレる?】」参照)

弓道の調子が悪い

せめて弓力が11kgあれば、矢の軌道が直線的になって狙いやすくなります。

12kgまで上げられれば、強い弓と対等に戦えます。

12kgがキツイと感じる人は、素引きだけでも12kgの弓を使いましょう。

3ヶ月ぐらいかけて徐々に体を慣らしていくのです。

目的と手段を間違えないで

いかがでしょうか。

弓道では、自分に合う弓を使うのが王道です。

強すぎると感じるなら下げましょう。

上げるにしても、3ヶ月ぐらい素引きで弓の強さに慣れてから上げるべきです。

そもそも、弓道は弓力を上げるのが目的ではありません。

あくまでも上達するのが最終目標。

弓の強さにこだわって下手になったら本末転倒です。

弓道で上達するためには、間違った思い込みを発見して改善していくこと。

地道に自分の射と向き合う姿勢こそが最も大事です。

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